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湖までの道のりを歩くこと一分弱。
透き通っている大きな湖の真ん中には、横幅が広い大きな三階建ての家があるが、その家までの橋がない。
「俺が帰ってくる時ぐらいは、橋を上げとけよな…」
湖の畔でクロノスは腕を組み、近くに転がっている石を湖へ蹴りながらそう呟いていると、前方の家から朝に会った老人が浮きながら胡座をして近づいてくる。
「少し遅かったのう、クロノス?」
「ぁあ……ちょっとな」
(遅刻したなんて言えない…な)
「?……まぁよい。行こう、我らの家へ」
首を傾げた老人だが、クロノスに背を向けて右手を上げながら、小さな声で何かを唱えると、湖の底から橋が上がってきた。
それにクロノスが頷く。
「うん…やっぱり、我が家が一番だな」
クロノスがそう呟いた通り、ここは彼の家だ。
2人が濡れた橋の上をゆっくりと歩いていると、前方に何人もの子どもたちが手を振りながら、彼を出迎えている。
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