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ライアーが許可すると、クロノスは手配書の内容を読み始めた。
「内容はと…どれどれ……『村を支配している侍を討伐して下さい』か…」
「クロノス、気をつけるのじゃ」
依頼内容を聞いたライアーは、手に持っていた酒のビンを横に置いた。
「この御時世に王国以外に支配者が居るということは…何か裏があるぞ」
「大丈夫だって」
「うむ。クロノスなら大丈夫だと思うが……気をつけるのじゃ」
ライアーは二回忠告し、クロノスが頷くと、魔法を唱えて、彼の周りに風を集めている。
周りの紙や酒などが細かく揺れている中、ライアーが口を開く。
「行き先はどこじゃ?」
「えーと…カナミ村だ」
「よし、今日の日が暮れる時刻に村の入り口で誰かを待たせておく」
ライアーが発動させた空間転移という魔法は、風属性の一種で、発動する者が行き先の場所を知らなければ発動すらも出来ない。
しかも、この魔法は目的地へ送る人数を増やすごとに魔力を必要とする中級魔法だ。
ライアーの言葉にクロノスが頷くと、朝方のように、魔法によってクロノスは消えていった。
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