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クロノスが向かっているカナミ村とは、ヴァーランド王国の西に広がる草原の中にある木で作られた家々が少しあるだけの小さな村だ。
観光客も少なく、ここに支配者が居るとは思えない。
そのような村の入り口で、私服に着替えたクロノスが到着すると、1人の背筋が曲がった老人が近寄ってくる。
「もしや、依頼を引き受けてくれた者かのぅ?」
「あぁ…こういう者だ…」
クロノスは、右腕に彫られている赤い鳥の紋章を見せた。
それは、不死鳥のギルドメンバーを示す紋章だ。
それを見た村の老人は、両手を軽く震わせている。
「も、もしや…ふ、不死鳥の者かね?」
老人はシワだらけの顔でクロノスの右腕を見て、それを確認すると、驚きすぎて声を詰まらせながらも、顔を上げてそう聞いた。
クロノスが頷くと、老人は丸い大きな目を何度も瞑り、不死鳥のギルドメンバーが自分の目の前にいる、という現実を疑っている。
このように、小さな村に住んでいる老人が驚くほど、クロノスが所属する不死鳥のギルドは世界規模で有名ということだ。
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