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「で…侍という奴はどこだ?」
クロノスが警戒するように周りを見回しながら言った。
この驚いている老人でさえも、信用してはいけない、と教えられているからだ。
「あちらに…」
老人が村の奥を振り返って指さした方向には、ひときわ大きな木の建物がある。
老人はそれを見ながら口を開く。
「……しかし、今は趣味の狩りをしているのじゃ」
「そうか…ふーん」
クロノスの存在に気がついた村人が集まる中、彼は目標の建物を確認すると共に、その方向へ歩きだした。
すると、村人の1人が彼へ向けて言う。
「少年よ!頼んだぞ」
「あぁ…任しとけ」
(この村、年寄りばっかじゃねぇか……許せねぇな)
皆の前のクロノスは至って落ち着いているように見えるが、若い彼の心は怒りに溢れていた。
そして、目的地に着いたクロノスは、目の前に映る二階建ての家の前に立ち、ゆっくりと剣を抜いた。
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