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此処はとある城の中、
コツン、コツンと革靴独特の音をたて薄暗い廊下を歩く男がいた…
前方には、円形の不思議な文字が書かれている魔方陣が、淡い白の輝きを放っていた。
男は何の躊躇も無く魔方陣の中心へと足を進める
「そこにいるんだろ?」
滑らかな低い声、男はそう呟き振り向く。
「おや、ばれていましたか」
先ほどまで、誰もいなかった廊下の壁にまた1人男がもたれかかるようにして立っていた
「また会議を抜け出したのですか?」
その男はやれやれと首をふる
「つまらんからな…」
魔方陣の中にいる男は対して悪びれもせず、腕を組んで立っている
「まぁ、余り遅くならないで下さいね。あの方が一度ああなると、私にはどうする事も出来ませんし」
「ふん。まぁいい、行ってくる…」
魔方陣に立つ男が手のひらを下にかざすと、先程まで淡い光りだったのが一層眩しく光り輝く。
壁にもたれかかっていた男は魔方陣の前まで移動すると、軽くお辞儀をとる。
「ご無事で……王子」
男が顔を上げると、中にいた男は既にいなくなっており、魔方陣もまた淡い光りを放っていた。
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