ダンデライオン

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  直後、可愛らしい顔がにっこりと綻びる。 「はじめまして涼平君。園芸部へようこそ!」 はい? 俺は彼の一点曇りもない笑顔を見つめて呆然とした。 「演劇部?」 「違うよ、え・ん・げ・い・ぶ。花とか野菜を育てたりする部活。」 ああ、なるほど。 じゃあ広場の花々は園芸部が育てたやつなのか。 「俺は三年の佐川春樹。部長だよ」 「はぁ……よろしく」 ん?待てよ……。 「え?三年?」 「うん、そうだよー。今年から三年生」 ななな……なんだってっ!? こんな悩殺スマイルの可愛い少年が先輩? しかも俺よりかなり小さいのに!? 「あっ!?てか俺、タメ口で…!」 うわぁー! 入学早々何やってんだ俺!! 「いいよいいよ、よく一年生と間違えられるし」 「うっ……すみません……。」 佐川先輩はにこりと笑うと立ち上がった。 「涼平君は園芸部入部希望なのかな?」 「あの、そういうわけじゃ……」 探険しててやって来ましただなんて実に言いにくい。 俺の困ったような顔を見て、佐川先輩は小さく微笑んだ。 「そっか、残念。けど俺は何時でも大歓迎だからね。気が向いたらおいで」     優しい笑顔。 ……そして可愛いすぎる。    
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