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「そういえば、さっき決めたって叫んでましたよね?何を決めたんですか?」
「ん?ああ」
すると佐川先輩は広場の方へと歩いて行った。
俺もその後を追う。
そして先輩はどこからともなく空のプランターを取り出した。
「ここにね、何の花を植えようかずっと悩んでたんだ。それをマリーゴールドにしようと思って。」
「マリーゴールド?」
「あれ?知らない?」
無言で頷く俺。
「じゃあ、あの花は知ってる?パンジーとビオラなんだけど」
先輩が指を指した先。
何処かで見たことのあるような花が咲いている。
けれど名前までは知らなかった。
「……知らないです。」
すると佐川先輩は少し考えたように黙り込んだ。
そしてパッと顔を輝かせる。
「じゃあさ、涼平君も一緒に育ててみない?」
「え?でも俺部員じゃないし……」
「いいよいいよ、何事も体験だって!」
佐川先輩はそこまで言うと、今度苗を買って来るからと言って微笑んだ。
「じゃあ……俺もやろうかな」
なんだかここにいると、温かい気持ちになる。
色とりどりの花がそうさせるのかな?
「ありがとう、涼平君」
いや、佐川先輩がいるから?
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