ダンデライオン

7/15
前へ
/56ページ
次へ
  「はい、涼平君。マリーゴールドの苗だよ。」 あれから一週間後。 俺は毎日園芸部にやって来ていた。 「あれ?花咲いてないじゃないですか」 「あはは、これから育てていくんじゃない」 この一週間で分かったことが三つ。 まず一つ目、園芸部は佐川先輩一人だということ。 「夏になったら元気に咲くよ。楽しみだね」 二つ目、佐川先輩は植物が本当に大好きだということ。 そして三つ目は……。 「あの、佐川先輩!」 「どうしたの涼平君?」 「……なんでもないです」 三つ目は俺が佐川先輩の前だとどうにも緊張してしまうこと。 「はぁ……なんでだろ?」 俺は広場の奥にあるタンポポ畑に座り込んだ。 丁度日陰で涼しい。 「ていうか……俺、今すごい楽しいや」 花なんかに興味無かった。 けれどここに来る度、どんどん花が好きになっていく。 心が温まっていく。 「……変なの。」 ソワソワしていて落ち着かない。 まるで……。 「恋してるみたい」 そうそう! って……ん? 「涼平君、ほっぺ真っ赤だよ?」 「うひゃ!佐川先輩!?」    
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加