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「いなくなったかと思ったら、こんなところにいた」
そう言って先輩は俺の隣に腰を下ろす。
「疲れちゃった?以外と体力使うでしょ?」
にっこりと微笑む佐川先輩。
なんだか直視出来ないや。
「涼平君、なんだかぼんやりしてるね。好きな子でも出来た?」
「え!?そんなんじゃないですよ!」
俺の顔がますます赤くなったのを見て佐川先輩はケラケラと笑った。
「からかわないでください!」
「あはは!」
俺は佐川先輩の頬を抓ってやろうかと手を伸ばした。
が、よろけてタンポポの花に手をついてしまう。
「うあ!?」
べしゃりと軽く潰れた花。
「わわわ……どうしよう!花潰しちゃった!」
小さな命をこの手で消してしまった!
罪悪感に慌てる俺を見て、佐川先輩は優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ」
そして先輩の小さな手が俺の頭を撫でる。
「タンポポは強い花だから、これくらいで死んだりしないから」
「本当……ですか?」
「うん、本当」
その言葉に、胸が高鳴る。
体中が温かくなる。
「ねぇ、涼平君。タンポポの花言葉って知ってる?」
「え?花言葉ですか?」
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