ダンデライオン

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  そんなの全然知らないや。 一体何なんだろ? 「タンポポの花言葉は真心の愛、神のお告げ。後は……恋愛の成就」 そう言う佐川先輩の手が俺の頬に触れた。 「佐川先輩?」 「成就すれば……いいのにな」 今にも消えてしまいそうな声で言う佐川先輩。 いつもと雰囲気が違う。 「先輩は恋をしてるんですか……?」 我ながら変な質問だと思った。 けれど、先輩はそんな俺の言葉に幸せそうに頷く。 「そっか……」 何故だろう、胸が痛んだ。 「あ!?涼平君ゴメン!!俺手に土ついてるのに!」 「え?全然大丈夫ですよ」 佐川先輩はゴメンと謝りながら俺の頬を服の袖で拭いてくれた。 触れられた所が、熱い。 「今日は遅いからもう帰ろうか」 「……そうですね」 なんだか俺、変だな。 視線はいつも佐川先輩の方を向いてるのに。 目を合わせることが出来ない。 ずっと話していたいのに。 言葉が思うように出てこない。 「佐川先輩」 「ん?何?」 本当、どうしちゃったんだろう。 「また……明日」 「うん、またね」 とても、不思議な気持ち。    
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