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トラックを進めること数十分。李はようやく目的地である街をその視界に捕えていた。
そんな時、急にヘッドライトが一つの人影を映し出す。
「なっ!?」
辺りに響いたブレーキ音と、焦げたゴムの臭い。
どうやらトラックは人影に接触する前に停止したようだ。
「てめぇ、危ねぇだろうが!!」
李の罵声が轟く。
すると、人影はゆらゆらとトラックに近づいてきた。
ここにきて、ようやく違和感が李を襲う。
ぶつかりそうになるまで接近した人影。しっかりと明かりを放つライト。
この状態でなお、人影が人影のままでいられるはずがないのだ。
さすがに不信に思ったのか、李はトラックから降りると自ら人影に近づいていった。
李が近づいてくるやいなや、急に人影は人の輪郭を帯ていく。
気がつけば、李の眼前に立っていたのは白いコートに身を包んだ美しい女性だった。
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