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結局、写真をポケットに突っ込んだまま、李は街に到着した。
しかし、時刻は深夜。
この時間に訪ねるのは失礼だと思い、トラックの中で夜が明けるのを待っているらしい。
目を閉じ、眠ろうとするものの、さっきの女性の言葉が頭から離れない。
“幸せ”を届ける?
意味が分からない……
眠ることを諦めた李は、ポケットから写真を取り出す。
乱雑に突っ込んだせいで、所々折れ曲がってはいたが、少女の笑顔はそのままだった。
李は、考えるのを止め、窓の外に目を移す。
トラックの外は中規模のビルが乱立していて、コンクリートの道路を歩いている人は一人もいない。
時間も時間なので当然のことではあるのだが。
ただ明かりを提供し続ける街灯が、寂しさを煽っている。
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