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ピンポーン
朝の透明な日光が街を照らし始めたころ、李は大きな門の前に立ち呼び鈴を鳴らしていた。
昨晩は結局眠れなかったのか、李の目の下には隈ができている。
そして、李が呼び鈴を鳴らしたこの家。これはもちろん依頼された物の届け先だ。
李の腕の中には、昨晩まで助手席に置かれていた小さな箱。これを届けにきたらしい。
ビルが立ち並ぶ中にある、和風の屋敷。塀で囲われた大きな敷地は異様をかもしだしている。
門のところに掲げられているのは、山猫組という看板。
うわぁ……
絶対ここヤクザの方々の家だ……どうりで割のいい仕事なわけだよ。
さっさと届けて帰ろう。うん、そうしよう。
李は完全にビビっていた。
確かに、風格漂うその建物からは危険な匂いがぷんぷんするのだが。
すると門が音をたてて開いた。
「お届けものでーす!」
引きつった笑顔でそう言う李の前に立っていたのは、まだ中学生くらいの少女だった。
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