一章

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     1     スクランブル交差点 歩行者が好きな方向に横断出来る交差点 しかしその歩行者は動かない 歩行者だけではない 公園で遊ぶ子供、鳥、車、ボールまでもが浮いた状態で止まっていた おそらく時間が止まっているのだろう そして、これからも時間は進まない 辺りは霧に包まれていた そんな場所のスクランブル交差点の真ん中に五歳児ぐらいの子供が一人、立っていた 動けるのはその子供と、深い霧だけ… そして、聞こえるのは、霧の奥から響く持ち主の見えない声だけ…
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