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「小晴は~~ん!」
ご機嫌な美麗ちゃんの声が廊下に響く。
(元気だなぁ・・・)
なんだかすごく自分が年寄りに感じてならない。
「なぁなぁ聞いて!今日新撰組の人達が来るんやて!」
「そうなの?」
興奮気味の美麗に対し、つとめて冷静に答える。
「冷たいなぁ、藤堂はんにちゃんと御礼言ったん?」
罰の悪そうに口を尖らせ首を横に振る。
あれから一度も会えていない。
「沖田はんにも会いたいんと違う?」
それには小さく抵抗した。
「命の恩人なんやろ?大事にせんと、罰が当たるよ。」
「あの時とは状況が違うの。あたしがここに売られたなんて知ったら、沖田さんだって自分を責めるでしょ。」
真顔で言ったのに、美麗はフフッと体を揺らして笑っている。
「な、何よ。」
不気味だなと顔をしかめた。
「優しいなぁ。」
冷やかすような顔を向けられ、頬が紅くなり鼓動が速まる。
「ひ、ひやかさないで。」
挙動不審になりながら、目をそらした。
「けど、沖田はんが来たら、気付かれるんと違う?」
妄想するようにうっとりと言われ、ドキッと肩を竦めた。
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