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「思い出話に花咲かせて、いつしか二人は恋仲に・・・なんて、ならへんかなぁ。」
妄想を更に膨らませ、キャーキャー言っている。
呆れてものも言えなかった。
「言っとくけど、あたしは何とも思ってないし。」
ぴしゃりと否定すると急に顔を近付け妖艶な笑みで顔を覗き込まれる。
「そんなん言うててええの?新撰組の沖田はん言うたら、女顔やけど強くて人気あるんよ。まぁ、表立って言う人はおらんけどな。」
沖田総司の顔を思い出してみる。
どうだったっけ?
確かに整った綺麗な顔をしていたような気がする。
「でも一番の人気は土方はんやけど。」
その名前にピクッと肩眉を上げて反応する。
あの無愛想な男が!?
信じられない・・・
「それ本当なの?」
「ほんまよ。羽田さんに聞いたんやから。」
「飛脚の?」
「そうや。」
飛脚とは、2007年でいう郵便屋さんの事だ。
こっちに来て1ヶ月、ようやく言葉にも馴染んできていた。
「土方さんの所には毎日のように恋文が届くんやて。」
(それって個人情報漏洩じゃないか・・・)
それは置いておいて、あの男に恋文を出すなんて、みんな騙されているに違いないと、やれやれと首を横に振った。
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