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知るワケもない。
こんな男。
もし、どこかで出会っていたら忘れないだろう、嫌な性格。
「さぁ?知人にはいないですけど?」
シレッと答えた里海は、抱えてきた荷物をドサッと居間に下ろすと、ようやく肩が楽になったと座りこむ。
「本当に無知な女。」
男は座っている里海の背後にある壁に手をつき、ぐっと距離を縮めた。
もう、キスができそうな距離だ。
「な、に?」
男性とこんな近づくのなんて生まれて初めての彼女は、声を引きつらせて固まる。
そのようすをおかしそうに眺めると、青年は里海の耳元で囁いた。
「俺は城戸。名字言えば、わかるよな?」
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