1波

9/14
前へ
/178ページ
次へ
知るワケもない。 こんな男。 もし、どこかで出会っていたら忘れないだろう、嫌な性格。 「さぁ?知人にはいないですけど?」 シレッと答えた里海は、抱えてきた荷物をドサッと居間に下ろすと、ようやく肩が楽になったと座りこむ。 「本当に無知な女。」 男は座っている里海の背後にある壁に手をつき、ぐっと距離を縮めた。 もう、キスができそうな距離だ。 「な、に?」 男性とこんな近づくのなんて生まれて初めての彼女は、声を引きつらせて固まる。 そのようすをおかしそうに眺めると、青年は里海の耳元で囁いた。 「俺は城戸。名字言えば、わかるよな?」
/178ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3835人が本棚に入れています
本棚に追加