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屋上に二人はいた。
「鈴さん……また会えたね?」
「そうだね……まあ学生ならこの学校しか無いか。だってこの街には学校ここしか無いし。」
「ははは、そうだね。」
「あ、献君。」
「ん?」
「あの時の約束、覚えてる?」
夜の丘での二人が交わした約束。
忘れる筈が無い。
あれは自分にとっても大切な思い出だから……。
「まあ、覚えてる。」
「んじゃ、御礼して貰おうかな?」
「今?」
「うん!」
「……仕方が無いか。」
「んじゃ行こう!」
腕を掴み、歩き出す二人。
その途中、歩きながら献は頼み事をした。
「もし良かったら何だけど………またハーモニカを吹いてくれるかな?」
あの時の音色をまた聞きたかった。
何故か元気が出る様な気がするから………。
「うん!良いよ?」
笑顔で頷いてくれた。
そしてその日
あの丘の上で再び
優しいハーモニカの音色が流れるのだった………。
――END――
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