人質とって、逃げようとして‥

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  「-Sorry, Lick. I've been caught. (ごめーんリック。捕まっちゃったぁ。)」 突然、間延びした緊張感のない声が部屋に響いた。 私が捕まえている男だ。 簡単な単語だったからなんとなく言っている意味は理解できた。   「Heeeey, boy? Are you fool? Don't be caught by such a child!! (おいおーいボクちゃん?お前はアホかぁ?そんなガキに捕まってんじゃねーよ!)」 嘲笑い馬鹿にしたような話し方で後ろの方にいた4人のうちの1人 ―髪は短いが金髪でスラリと背が高い― がひょっこり顔を出し、そう言った。   自分が‥仲間が捕まってんのに、なんでこんな余裕なんだろう? 私の心に焦りばかりが募る。   「Shut up, Zack!! I'd never thougt she do such a action. (うるさいなぁザック!まさかこんな事するなんて思わなかったんだよ。)」 また捕まえてる男が話す。 Zack(ザック)が、あの金髪で背の高い男の名前らしい。   それにしてもこんな気軽に話すなんて‥。 子供だからと舐められているんだろう、止めなきゃ。 これ以上舐められるわけにはいかない!   「Shut up, man? Do you want me to kill you? (黙ってくれません?殺されたいわけ?)」 ガラスの破片をグッと捕まえてる相手の首に押さえつけ、声を低くしゆっくりと言う。   ‥一気に静かな、ピリピリとした雰囲気になった。 男達の睨みつけるような視線を一身に受ける。 それでも負けるわけにはいかない。 震えを隠すように‥ 恐怖を隠すように‥ 泣き出さないように‥ 逃げ出さないように‥ 自分に負けないように‥ 声を大きくして、続ける。   「If you want me not to kill this man, let me go home! (もしこの男を殺してほしくなければ、私を家に帰して!)」 ドア近くに立つ男達を見上げ、睨みつけ言った。 英語は合っているかわからないけれど、とりあえず自分の知識を総動員する。 間違っていたとしても、伝わればそれでよかった。  
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