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体を起こし、
――足首が結ばれているので必然的に正座になるが――
髪の短い方の女性の体を揺すりながら声をかけた。
「すみません、起きて下さいっ。」
もちろん小声で。
でも、起きるように耳元で鋭く。
少し経ってから、うーんと唸り声を上げた。
目を覚ましたようだ。
すぐにそのままもう1人の髪の長い方の女性も起こす。
やはりまだぼんやりしているようだったけれど、ゆったりとしている時間はないと声をかけようとした
瞬間――
バンッ
と音を立てドアが開いた。
眩しい。
外の光に暗闇に慣れた目が悲鳴を上げる。
腕を上げ光を遮った。
誰か入ってきた。
「~~~‥!」
何か喋ったけど、混乱している頭の中には何も入ってこなかった。
わかったのは相手が男の人だということと、日本人ではないということだけ。
多分、英語だった。
あぁ‥自分は英文科所属なのに、もっと勉強しとけばよかったと後悔。
心の中はどうしようもないほど焦っていて。
どうしようどうしようどうしよう。
ヤバい。
それしか考えれなかった。
男はただ私達が起きたかどうか確認しようとしただけだったらしく、またすぐにドアを閉めた。
また、静寂が訪れる。
自分達の息遣いの音しか聞こえない。
突然に彼女達が話し出した。
ようやく呆然とした状態から抜け出したらしい。
起きたばかりの頭では今の状況を整理するには時間がかかるのも当たり前だ。
何これ、ここは何処よ、どうなってるの。
かなり混乱している。
取り敢えず落ち着かせて、私が考える今の状況を話し、どうするか話し合わなきゃ。
そう思い、彼女達に落ち着いてもらおうと懸命に話し出した。
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