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「どうにかして逃げ出さないと‥取り敢えずこの紐取りたいですよね。」
私のこの発言に空気は凍りついた。
森さんは困ったように俯いてしまうし、飯塚さんは
「‥逃げ出せるの?どうやって?もし手足が自由になったとして、見つかったら‥逃げ出そうとするのが見つかったらどうするの!殺されるかもしれないじゃない。」
と険しい顔をして言った。
「そんなこと言ったって‥何もしないよりは‥。それにっ何もしないでいたって殺されるかもしれないじゃないですか。」
まさか反対されるとは思っていなかった私は動揺した。
でも、私は最初から諦めたくなかった。
だって、やりたいことはまだまだ沢山ある。
せっかく英文科に入ったんだから英語だってネイティブのように話せるようになりたいし、まだ海外旅行にだって行ったことない。
遊びたい盛りだし、みんなでバカやってたい。
まだ未成年だけど‥20歳も間近だし、飲み会も楽しみ。
免許だって取りたい。
こんな所で終わりたくなかった。
あぁ‥家族や友達が恋しい。
信じられる人達。
信じてくれる人達。
きっとみんながいたらすごく心強いのに。
寂しい。
でも飯塚さんの意見は変わらず、
「子供が強がってんじゃないわよ。今の状況甘く見ないで!あたしは殺されたくないわ。きっと誰か助けに来てくれる。その前に殺されるなんてごめんだもの。」
目をキッとつり上がらせ怒ったようにそう叫ぶ。
やっぱり、寂しかった。
自分独りな感じがして悲しかった。
誰かと一緒にいるときに感じる孤独感が一番辛い。
自分1人で逃げたいわけじゃない。
みんなで逃げたいのに。
1人で逃げられても
1人で逃げ切れても
それでは意味がない。
――独りは嫌いだった
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