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「無理だって…もう呑めないから」
酒豪の佳奈にはかなわない。佳奈のアパートで始まった酒盛りは、イイチコを2本空けたところで私が倒れた。
「こら!」
寝転がる私のお尻を勢いよく叩く。
「今日はマミの失恋記念日なんだから!」
「!」
驚き振り返った私の目に、優しい笑顔が写る。
「バレバレだって……いつも目でヨザ君を追ってたでしょう?」
頷いたのか、首を振ったのか、自分でも分からないほど頭を振った。
「私さぁ、マミはもう遠距離の彼氏と別れると思ってたんだよ」
彼氏への気持ちは確かに冷めていた。多分別れるのだと、何となしに気付いてはいる。
「ヨザ君もさぁ、マミに彼氏がいなかったら絶対マミに来たって! きっと本当はマミの方が好きだよ!」
佳奈の根拠が無い言葉に、私はすがった。
「そうかなぁ……」
「そうだよ!」
多分酔っ払ってたからだろう。一瞬の沈黙の後、私は携帯を手にとった。
「聞いてくる」
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