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「…………そっかぁ……」
キッパリとした与謝君の言葉に、私の酔いは醒め始めた。
「じゃあさぁ……諦めるから一度だけ抱いて」
『春日さん! ダメです』
少し怒った声に苦笑を漏らした。
「そうだよね……じゃあ……じゃあ……本当に最後に一つだけ質問させて……」
『はい……何ですか?』
「私に彼氏がいなかったら……佐里菜と付き合うと決める前に私に彼氏がいない状態なら……与謝君は……」
『…………』
どちらを選ぶ?……声にならない言葉を心で思った。
『…………ダメです……その質問には答えられません……実際、春日さんには彼氏さんがいるんですから』
私の泣き笑いの顔が、朝日に照らされた。
「ありがとう……やっぱり与謝君はイイヤツだね」
いつもの口調で私は話せた。
「今度飲みに行こうよ……もちろん佐里菜も一緒に」
私の恋心は、順番に負けたのだ。
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