姉 

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 優也が中学生の頃私は高卒で社会人になり、あまり優也とも会わなくなっていた。     「優也君、県大会優勝ですってよ!」 「優也? なんの大会?」      残業帰りの私を捕まえて、ネグリジェ姿の母が我が事の様に自慢した。私は疲れているし、特に興味もなく。     「未来! あんたってそんな薄情な子だったの?」      憤慨した母はそのまま寝室へ行ってしまい、答えが聞けたのは数年後……優也が、高校入学の挨拶に両親と来た時だった。     「へぇ……柔道かぁ」      小さい頃の笑顔だけ変わらず、小柄な私を見下ろす巨体が玄関にいた。     「ホントはギターとかもやりたいんデスよ」      言葉使いも変わってない。私には何故か丁寧に話し『デス』が舌ったらずになるのだ。でも声は太く、私の身体に響いてくる。     『あれ?』      玄関口で会話を続ける母の後ろで、私は首をひねった。     『なんでだろ?』      そう、何故かわからないけど、私は優也を男性として好きになっていた。
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