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真っ暗闇の中そっと目を開けると、そこは森だった。
月の光も何もない闇の中だけど、ここは森なのだとわかった。
そして私は森の中へ進んでいく。
なぜだか分からない。ただ進まなければ。そう思った。
歩いていると周りがやけに騒々しい。
カサカサ・カサコソ
ガササ
人よ。
人だわ。
人の子よ
ここには私しかいないはずなのに、周りからそんな声が聞こえてきた。
恐ろしくはない。ただ不愉快なだけ。
何か分からないものに、コソコソ噂されるのが。
私は立ち止まり声の主に文句を言った。
「コソコソコソコソと!さっきから煩いのよ!用があるなら堂々と面と向かって言いなさい!」
腰に手を当て、できるだけ大きく、できるだけ低い声で、そう言った。
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