薔薇色のロード

2/5
前へ
/50ページ
次へ
 ――パシュ!  乾いた音が体育館に響き渡った。  それと同時に体育に黄色い声援が飛び交う。 「きゃあー! 『凛』様ぁ! カッコイイ!」  そんな声援にオレは笑顔で答える。  オレ様の名前は睦月凜(むつきりん)。  自分で言うのはなんだが、『天才』だ。わりぃ、敵を作るつもりはないんだよ、本当に。  テストでは一位しかとったことがないし、スポーツもそうだ。今のシュートを決めたのも当然オレ。今はバスケをしているんだけど、何故か勝手に女子が集まってしまった。 「あのっ、凜くんタオルです!」 「ん? ありがとう」  凜はタオルを渡してきた女の子にニコッと微笑んだ。すると女の子は魂が抜けたようにその場に倒れてしまった。  凜はフッと笑いながらその場を去った。  どんな女なんて笑えばイチコロだ。落ちなかった女は今のところ一人もいない。男だって、大人だってそうだ。笑顔になれば、誰でもオレに親切にしてくれる。……あのウザイ親代わりの親戚は除いて……。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1570人が本棚に入れています
本棚に追加