薔薇色のロード

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 たまに思う。笑っているオレは本当のオレなのか? と。  誰にも心を開かない、笑顔で固めたオレを変える人間なんているのだろうか?  友人ならいる。だが、『親友』ではない。そんなの作りたくもないし、馴れ合う気も毛頭無い。  それともう一つ、オレの中学にはイラつく伝説がある。それは、『如月葵(きさらぎあおい)伝説』だ。  生ける伝説として語られる、見たことのない男、如月葵。オレのやることなすことの全て一個上を行く、ムカつく野郎だ!  大好きなバスケも、勉強も! しかも飛びっきりのイケメンって言うじゃねぇか! 「如月葵……いつかタイマン張りてぇな」  そんなことを一人ゴチっていると、後ろから先生に声を掛けられた。 「睦月くん! 至急校長室へ! なんでも『清華学園』のことだそうよ!」  凜は一瞬口元を綻ばせたが、すぐに例の笑顔を見せた。 「はい先生。すぐに行きます」
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