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昔、侍のバイトをしておいてよかったと、今になって思う。
ゾンビの首は飛び、そこから血が流れ出す。
しかし、血が噴き出すとかそんな次元じゃない。
流れるように、ドロドロと流れているだけ。
俺は不意に、嫌な予感がした。
周囲に目を走らせる。
その時…。
若村の後で、ゾンビが今にも切りかかりそうだった。
「若村!後ろ!」
「え?」
若村が振り向いた瞬間、綾の持っている銃から銃声が鳴った。
見事にゾンビの脳を貫き、若村の怪我は免れた。
「周りに気を配ってください!今の銃声で数が増えます!」
「マジっすか!?」
田木は一言加え、振り向きもせずにゾンビと戦っていた。
しかし…、敵が増えると言うことは俺等も危ない。
「とりあえず逃げるぞ!これ以上増えると、こっちの分が悪い!」
俺は叫び、綾のところまで走った。
「逃げ道知っているだろ?俺等もそこまで付いていく。ついでに言っておくが俺等は…、この世界の人間じゃない。」
「え?」
「綾ちゃん!早く逃げないと!」
綾の言葉を遮るように、若村が言った。
「そうっすよ!ちょっと戦いっぱなしじゃ、疲れるし。」
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