戦争

6/9
前へ
/59ページ
次へ
昔、侍のバイトをしておいてよかったと、今になって思う。 ゾンビの首は飛び、そこから血が流れ出す。 しかし、血が噴き出すとかそんな次元じゃない。 流れるように、ドロドロと流れているだけ。 俺は不意に、嫌な予感がした。 周囲に目を走らせる。 その時…。 若村の後で、ゾンビが今にも切りかかりそうだった。 「若村!後ろ!」 「え?」 若村が振り向いた瞬間、綾の持っている銃から銃声が鳴った。 見事にゾンビの脳を貫き、若村の怪我は免れた。 「周りに気を配ってください!今の銃声で数が増えます!」 「マジっすか!?」 田木は一言加え、振り向きもせずにゾンビと戦っていた。 しかし…、敵が増えると言うことは俺等も危ない。 「とりあえず逃げるぞ!これ以上増えると、こっちの分が悪い!」 俺は叫び、綾のところまで走った。 「逃げ道知っているだろ?俺等もそこまで付いていく。ついでに言っておくが俺等は…、この世界の人間じゃない。」 「え?」 「綾ちゃん!早く逃げないと!」 綾の言葉を遮るように、若村が言った。 「そうっすよ!ちょっと戦いっぱなしじゃ、疲れるし。」
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加