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「野田…、この汚れている部分の跡って、何かわかるか?」
「なんですか?」
平片さんは真剣な眼差しで、ファイルを見つめている。
「多分…、血。」
「え!?」
また俺を驚かせようとしているのかな?
けどそんな気持ちを無視して、言葉を続けた。
「俺さ…、過去を語るわけじゃないけど、人の血の色と匂い…、慣れてるんだよ。」
俺は寒気がした。
まさか…、嘘だろ?
「…。冗談…、ですよね?」
「残念ながら嘘じゃない。」
平片さんの印象がガラリと変わってしまったのも、言うまでもない。
一番争い事が嫌いな人に見えるのになぁ…。
「まぁ、それ以上は言えないけどな。」
平片さんは、俺に苦笑いで答えていた。
「けど今はどうなんですか?」
「え?」
俺の中に不安が過ると共に、平片さんへの敵対心が少しながら、沸いていた。
「いつもの仲間とか…、傷つけたりしないって、誓えますか?」
すると平片さんの目付きが変わった。
今までこんな目をする平片さんを、見た事ない。
一瞬動けなかった。
「どういう事だ?」
まるで蛇に噛まれているようだ…。
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