感覚

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俺は一時間前の事を思い出していた。 またさっきのゾンビが…、俺達を襲ってくるんじゃ…! 不安だったけど、平片さんが俺に小声で俺に語りかけてきた。 「野田、少しここにいてくれ。俺が様子を見てくる。何かあった時は叫んでもいい。すぐに戻る。」 「え?」 平片さん…、自分を犠牲にする気かな? ふざけるな!俺だって男だ。 「平片さん、俺も行きます。」 「さっきも言ったが、俺はお前らを傷つかせたくない。」 そこまで俺達の事信用しているんだな…。 仕方ないか…、この人は言ってもすぐに止める人じゃないし。 「それじゃ約束して下さい。平片さんにもしもの事があった時は、俺を呼んでください。その時は俺が助けに行きます。」 平片さんは少し考えている素振りを見せた。 「分かった。その時はよろしく頼む。それじゃ待っててくれ。」 そう言うと平片さんは扉から通路への扉を開け、部屋から出て行った。 ここからは俺の精神と、聴覚との勝負だった。 僅かに聞こえる平片さんの足音。 そして俺の鼓動…。 普段より早く動いているのがわかる。
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