感覚

6/15
前へ
/59ページ
次へ
息を潜め、身も潜め、平片さんに無理やり付けられた、サバイバルナイフを強く握りしめる。 早く戻ってくる事しか祈れない自分に、無性に腹が立った。 一秒一秒が長く感じる…。 俺は平片さんを待ち続けた。 時間にして約30分立ったころだろうか? 俺には一時間以上に感じられた。 今いる部屋の扉が開く音がした。 「平片…、さん?」 しかし返事がない…。 俺の頭に不安がよぎる。 もしかして…、平片さんじゃない?じゃあ誰なんだ!? 恐る恐る扉の方を見てみると、そこには…、俺が恐れていたゾンビが立ちはだかっていた。 俺の鼓動が一気に加速した。 頭の中が真っ白になっていた。 もうダメだ…、俺一人じゃ何も出来ない…。 俺の鼓動の音が、相手に聞こえるぐらい激しさを増した。 相手を凝視していた俺は、手を見た。 あの時みたいに刃物は持っていない…。 こんな時、平片さんならどうする? 考えろ…、俺。 多分…、相手に気がつかれないように近寄ってから、攻撃するのかな? それとも、逃げるのかな? 分からない…。 とりあえず、近寄ってみようかな…。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加