現実

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スライドドアから大声で叫ぶのは、田木雅哉。 彼もアルバイトの中の一人で、同じ職場で働いている。 最近じゃ唯一のパートナー的な存在だ。 「俺が行かなかったら皆行かねーだろ。」 俺と同じ社員の尾長秋。 常に面白いネタを持っていて、皆を楽しませるムードメーカー。 彼がこの仕事場に入社しなかったら、若い者は俺一人だけだった。 そして俺は、大体俺が運転手なんだろうな…。 そう思い、一応皆に聞いてみる事にした。 「とりあえず、誰が誰の車に乗るんだ?俺の運転でよければ、乗せるけどな。一応、車持ってるやつの名前あげるから、手上げろ。」 そう言うと、俺の名前から言っていく。 そこで手を挙げたのは、尾長と田木。 「尾長…。車持っているだろ。」 そう言うと、尾長は手を合わせて。 「平片さーん。悪いんだけど乗せて下さい。」 そこまで言ったはいいが、俺は不意に言葉が詰まった。
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