感覚

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「俺の名前は野田大地。さっきはありがとう、助かったよ。」 「いえいえ。困っている時があったらお互い様でしょ!」 少し楽になった気がする。 その時、またしても部屋の扉が開いた。 今度は普通の開き方だった。 「その様子だと無事みたいだな。」 あの声は…。 「平片さん!」 俺は姿を見るなり、平片さんの方へ駆け寄った。 しかし平片さんの服には、おびただしい血の色に染まっていた。 「大丈夫ですか!?」 「大丈夫だ。俺の血じゃない。」 俺は心の中で安堵した。 「誰?」 すると俺の後ろから香奈ちゃんの声がした。 「俺の先輩?」 「そうなんだ!初めまして、柊香奈です。よろしくね!」 香奈ちゃんは元気よく挨拶して見せた。 「俺の名前は、平片聖都。よろしくな。」 平片さんもにこやかに挨拶してるけど…、香奈ちゃんが自分の名前を言った時に何故、眉を寄せたんだろう…。 「とりあえず柊さん。いきなりで悪いんだが、質問してもいいかな?」 「どうぞ。」 初対面でいきなり質問して、何をする気だ? 俺には分からなかった。
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