194人が本棚に入れています
本棚に追加
朝
外には小鳥の囀ずる声が聞こえた
朝の日差しが差し込み時計の針は8時を指そうとしている
「わ~遅刻だ遅刻~!!」
彼の名前は紅 神九郎(しんくろう)
彼は目の前に調理されていたご飯を流し込むと私服をきて戸締まりを確認し外に出た
自分の愛車の自転車に乗り込み走り出す
神九郎が住んでいる街には信号が無く通るのは牛等だけだった
辺りは枯れ木だった
そのなかをチャリンコで突っ走る
風に木の匂いが混じり良い匂いを放っていた
「風が冷たく良い気持ちだ~」
彼の髪が風になびいている
道は舗装されていない地面からアスファルトへ変わり行く
俺はこの道を何年も通っている
キキッ
俺は駅の地下に作られた駐輪場に自転車を停め鍵を架けた
時計を見ると針は8時半を指している
「ギリギリセーフかな」
俺は上に続く階段を登った
そして財布の中にある定期を出し列車が来る駅のホームへと向かう
ホームへと降りる階段で俺は立ち眩みを覚えてしまう
頭の中がぐるぐる回り吐き気さえ覚える
こんな感覚は半年位前からだ
「あの…大丈夫ですか?」
不意に幼さが残る声が頭の中に響き目を開けた
そこには心配そうな顔で此方の顔を覗き込む少女が立っていた
「あ…あぁ…大丈夫」
「体調悪いなら病院に行った方が良いですよ」
「大丈夫…だから…気にしないで」
体が熱くなるのを覚え俺は壁に寄りかかってしまう
気持ちも悪くなってしまい吐きそうだ
「がはっ」
俺は咳き込んでしまい口に手を当てる
何回も咳き込み息が出来なかった
口の中に鉄の味が染み渡る
咳も止まり手を見ると手は真っ赤な薔薇に包まれていた
俺は突き付けられた現実を受け入れられずに目を背けてしまう
手を握り再び歩こうとする
少女に手を握られ前へ歩けない
「あの…何か?」
「病院に行きましょう!」
「何で?」
「あなたの手真っ赤じゃないですか?」
「そうですね」
「だから病院に行きましょう!」
「話が見えないんだけど…」
「あっ気にしないで下さい」
「人の話を聞け~」
「あっもしもし私だけど」
隣の少女は慣れた手付きで電話をかけている
「Ё*仝々〆〇!!!」
言葉にならない声が電話から発せられている
そんなこんなあって俺は病院に連れてかれた
最初のコメントを投稿しよう!