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タクシーに乗り少女は病院の名前を告げている
随分となれているようだった
新手の詐欺!?
俺はそんな事を考えながらも大人しくタクシーに乗っていた
走り出して30分ぐらい経った
そしたらタクシーは目的地に着いたようだ
俺は先に下ろされ少女が金を払っている
目の前には俺なんか一生これないような住宅が建ち並んでいる
その一角に病院が建っていた
その中に連れられ入って行く
俺は座らせられ少女が受付票に書き込んでいた
少女の着ている服を見る限り何処かの学校に行っている様だ
良いのかなぁ??
そんな事を考えながらも時は進んだ
俺は医者の診察を受けた
何やらやたらと凄い診察だった
金高そう~
色んな事が俺の頭の中を駆け抜けた
医者は俺の目を見つめ口を開いた
「えぇ~と…紅…さん?」
「はい…」
「非常に言いにくいのですが…」
俺は緊張してしまい唾を飲んだ
ゴクリという音が室内に響いた
「紅さん…あなたの命は…残り1年です…」
医者は俺の命が残り1年だと告げた
突き付けられた現実に対して俺は逃げるしかなかった
「嘘…ですよね?…」
「いえ…残念ながら…」
「冗談は止めて下さいよ…?」
「本当です…あなたの命はあと1年です…」
突き付けられた現実は地獄でしかなかった
受け入れられずに俺は目を背けるしかなかった
しかし現実は変わらなかった
「後1年は何をしても変わりません」
「後はあなたの自由にすれば良いと思います」
「ではまた明日来て下さい。詳しい病状はその時に…」
俺はまだ自分の死が受け入れられずボーっとするしかなかった
「大丈夫でしたか…?」
「俺は…大丈夫」
少女の言葉に俺は心配をかけたくなかった為嘘をついた
「そうですか~」
少女は満面の笑顔をこちらに向けた
俺の体調が悪くない事を喜んでくれているらしい
彼女の太陽の様な笑顔に俺は胸がきつくなった
少女は料金を払っている
俺の頭の中には自分は後1年の命という単語が駆け抜けては消え消えては現れ駆け抜けた
どうすれば良いかわからず俺は外に出た
時計の針はまだ10時を指していた
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