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本当は知っていたが、会ったばかりなのに名前で呼ぶのはどうかと思っていた
すると彼女は微笑んで、
「安藤奈緒です。改めましてよろしくね…緒方くん」
その時の彼女は、僕が今まで見て来た女性のなかで、一番綺麗だった……
見た目は、目立たなくて地味で臆病者だった彼女のはずなのに……
それ以来、安藤は以前より増して綺麗になった
髪も茶髪になり、メガネもコンタクトに変えた
前と同じく花瓶を壊しても、部長も口うるさく言わなくなった
彼女を変えたのは、僕だったのかもしれない。
「おい、緒方!」
話しかけてきたのは、同僚の幸村だった
「なんだよ、隼人」
「事務の安藤ってあんなに可愛かったっけ?」
「さぁな……」
「結構女の子って好きな奴が出来るとさ…相手に見て貰おうと綺麗になるもんだぜ!もしかしたら安藤って好きな奴いるんじゃねぇか?」
隼人は笑いながら言った
「お前は恋愛に関してはオタクだな」
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