クロ

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    そしていつものように、その家の前を通り過ぎようとしていると....                         「ワンッ!!」         そこには、真新しい門から鼻先だけを出し、元気に吠えるクロの姿があった。         「クロ-!!」     私はすぐに駆け寄りクロを撫でた。     すると玄関から、おじさんが出てきた。   おじさんは私に 「こんにちは」 と挨拶をしてくれた。 6年住んでいてそれが初めての挨拶だった。   おじさんは私に話してくれた。   それは...     家族が一時引っ越していた家は、社宅で犬が飼えなかった事。 誰も預かってくれる人が居なかった事。 それならクロの好きなように生かしてあげようと考えた事。   なぜおじさんが私にそんな話しをしてくれたのかはわからなかったが、私もおじさんに今までのクロの話をした。   おじさんは泣いて 「ありがとね」 と言っていた。     クロが姿を消したのは、おじさんが見兼ねて、社宅で隠れて飼っていたらしい。       その日から、私はクロの散歩係をさせてもらった。           クロ...   おじさんを... 家族を信じていたんだね。       待ってて良かったね。       クロ...       幸せにね。
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