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そして次の週がやってきた
私は以前より少しよそ行きのお洋服をきた
「リディ、今日は可愛いお洋服を着ているんだね」
お医者様は微笑んで私の頭を撫でた
私は頭を撫でてもらうのが大好き
「さ、お口を開けて」
彼の指が私の口に入る
なんだか厭らしいわ
そんなこと思ってはいけないのに
治療がおわったあとお医者様は私を見てまた微笑んでくれた
「完治したからね、もう来なくていいよ」
「え…?」
忘れていた
私なんてお医者様からすれば只の患者なのだわ
完治したから
もう来る必要もないもの
私は悲しくなって悲しくなって
いけないことを考えてしまったわ
「また虫歯になればいいのね…」
いけないのに いけないのに
私は部屋に閉じこもり歯磨きをろくにしなかった
「お嬢様!お嬢様!」
外で下女が呼ぶけど私は一切出なかった
「早く早く…早く虫歯になりなさい」
私は自分に言い聞かせるように呟いた
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