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「二千十二年五月三日」東京
「ザーザー。」
外は少し早い梅雨の影響で、大雨が降っていた。
そんな中、神童克也は複雑な気持ちで目が覚めた。
今日からとある大手の会社へ就職が決まった克也が思っていた不安は、雨によって一層強いものとなった。
2ヶ月前、克也は都内有数の情報関係の学科がある大和経済大学をトップで卒業した。
克也は昔から人々に、多くの事柄を報道してやりたいという夢があった。
そのため、就職は日本最大の情報局、日本政府情報管理局………通称JNIという会社を選んだ。
しかし、今の時代そういった情報関連の夢を持つ若者には厳しい時代だった。
日本は二年前、ビジョン特例法となる愚かな法を施行した。
この法案は民営の情報関連の会社や局をすべて廃止し、情報のやり取りをすべて政府が行うという理不尽窮まりないものだった。
最初は克也も本当にこの道を進んでいいのか迷った。
…だが克也には道を変えるには遅すぎた。
そのため克也は決心した。
欺瞞だらけの情報を信じざるを得ない社会を内部から変えてやろうと………。
しかし、初めのうちは何も出来ないだろうという事が克也にも分かっていた。
そのため克也は初めての出勤への不安と緊張で朝食は食べれなかった。
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