誤解

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2人は俯いたまま黙り込む。 沈黙が空間を支配する……のは雪の頭の内部だけ。 服『ほら、家に誘えって! チャンスだぞ!』 興の頭の中には、物質達の急かす声が次々と入ってくるのである。 興『あの…弁当持って来てくれてありがとう。その…良かったら…上がってよ。お茶ぐらい出すよ?』 弁当『おお! とうとう言いやがったな! こんちくしょうめ!』 雪『そう? じゃあ、お言葉に甘えて』 パッと顔を明るくする雪。 2人は興の部屋に入る。まあ、普通の人なら静かな部屋だと感じるだろうが、興は違った。 先程も言ったように、物質共のこんちくしょうめである。 ペン『お、おい! みんな興が娘っ子を連れて来たぞ!』 本1『おお! なかなかええ女じゃないか』 本3『よくやったわ! 興』 ベッド『神の祝福です』 タンス『おい、興。その娘が雪だべか?』 興は雪に気づかれないようにコクリと頷いた。
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