1163人が本棚に入れています
本棚に追加
2人は俯いたまま黙り込む。
沈黙が空間を支配する……のは雪の頭の内部だけ。
服『ほら、家に誘えって! チャンスだぞ!』
興の頭の中には、物質達の急かす声が次々と入ってくるのである。
興『あの…弁当持って来てくれてありがとう。その…良かったら…上がってよ。お茶ぐらい出すよ?』
弁当『おお! とうとう言いやがったな! こんちくしょうめ!』
雪『そう? じゃあ、お言葉に甘えて』
パッと顔を明るくする雪。
2人は興の部屋に入る。まあ、普通の人なら静かな部屋だと感じるだろうが、興は違った。
先程も言ったように、物質共のこんちくしょうめである。
ペン『お、おい! みんな興が娘っ子を連れて来たぞ!』
本1『おお! なかなかええ女じゃないか』
本3『よくやったわ! 興』
ベッド『神の祝福です』
タンス『おい、興。その娘が雪だべか?』
興は雪に気づかれないようにコクリと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!