誤解

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天気は雨。次々に降り注ぐ雨に当たって草木の葉はザワザワと音を立てた。 興『違うんだ。雪ちゃん! 誤解なんだよ!』 雪『何が誤解よ! あの部屋には2人しかいないのよ!? 誤解が起きようがないじゃない!』 一般人にとってはごもっともな意見だが、興にとってはそんな理不尽な意見はごめんなわけである。 興『違う! 本当に誤解なんだ! 君は信じれないだろうけど…』 服『おいやめろ、興! それを言うんじゃない!』 興『君は信じられないだろうけど僕はあらゆる物質の声を聞くことができるんだ! あいつらが僕の事をからかったから怒鳴ったんだ! 本当だ!信じてくれ! 頼む!』 雪『…………』 沈黙する雪。興はその様子を心配そうに見据えていた。 そしてしばらくして、涙を流しながら首を横にふった。 雪『……………無理よ。とてもじゃないけど信じれないわ』 興『本当なんだ! ペンやタンスが話しかけてくるんだ!』 雪『……分かったわ……』 興『信じてくれた?』 雪『私の事馬鹿にしてるのね? それともふざけてるの? こんな時に…。どっちにしろ、最低ね』 雪は雨のなかを無茶苦茶に走って行った。外はチカチカ光り、薄黒かった雲はどす黒くよどんでいた。 玄関マットに染み込んだ水分は雪の流した涙なのか自分の涙なのか、それとも騒がしく降り注ぐ雨のせいなのか、興には分からなかった。
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