少年のヒ・ミ・ツ

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『ねね、昨日の日曜洋画劇場みた?』 『ああ、Dr.ド●トルねぇ』 『私あれ好きだわ~。しゃべる動物なんてキュートだわ~!』 『動物わね』 『どういう意味? 興』 興『い、いいいいや。何でもない。何でもないよ、雪ちゃん。ハハッ…』 雪『ふ~ん』 よくある会話のやり取り。 空は青く澄み渡り、空を飛ぶジェット機は白く薄い線を引く。平和な日々が続く。 呆れ返るぼどに、みんな幸せに暮らしている。だがこの場合、"普通"の人に限ってだが。 雪と別れた興は素早く家に入り、一呼吸してから自分の部屋に飛び込んだ。 『お帰り~!』 大勢の声が一斉に興に話しかける。が、周りには誰もいない。 窓は締め切ってあり、外からは聞こえない。 しかし、それに構わず謎の声は興に話しかける。 『学校どうだった?』 『いじめられなかった?』 『おいおい、無視すんなよ~! オイラさみしいよ~』 興『うるさいなぁ! いちいちしゃべりかけるな! いいから大人しくしてろよ!  お前達と話すと周りの人に変な目でみられるんだぞ!?』 母『興~? 誰かいるの? さっきから喋ってるけど?』 興『いや、誰もいないよ、母さん。心配しないで』 机『そんなに怒ることないだろ? 俺達、親友じゃないか』 興『……………机に言われたくない』 お気付きになった人もいるかもしれないが、彼は普通の人ではない。 彼はほとんどの物質の声を聞くことができるのである。 これは、そんな奇妙な力を持つ奇々怪々な物語。
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