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興はその大きな樹を見つめていた。
昔の思い出を振り替えるかのように…
興はその大きな樹を見つめていた。
まるで恩人を見つめるかのように…
興達がタイヤの後を見つけ、その跡を辿ってから数十分。
その樹は大きな葉を生い茂らせていた。風が吹くたびにカサカサと音を立て、他の樹々達と唄を謳う。
そして濃い樹々の匂いが鼻をつつく。
猫1『なにを見ているんだ?』
興はすぐに返事をしなかった。
しばらくしてから、やっとその口を開いた。
興『…御神木…』
猫1『神木? ああ、これかい。この樹は滅多に話さいと有名な樹さ』
興『僕はこの樹に助けられた』
猫1『なに? アッハッハッハッハッハ! そんなことあるわけないよ』
興『…………』
興はしばらく神木を見つめていた。
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