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さて、何故この少年があらゆる物質の声を聞くことができるのかと言うと…
興『全く。小学生の前からはこんな能力はなかったのにな~』
机『そういえばなんで興って俺達の声が聞こえるようになったんだっけ?』
電球『宇宙人に連れ去られて改造されたとか…』
ベット『神からのお告げです』
本1『キリスト教徒は黙っとりな!』
赤色が掛かった髪をした少年は暫く考えた後、ぼそりと呟いた。
興『……きっとあの時だ』
ハサミ『どんな時?』
興『俺は覚えてないんだけど……母さんが言うには、俺が幼稚園に入ったばかりの頃、母さんとよく散歩に行ったんだけど、母さんが目を放した瞬間に俺は誰かに連れ去られたらしいんだ』
本2『プロやな』
興『1週間も探したのに見つからなかった。だけど、ず~と遠くにある藤ヶ岳山の頂上にある御神木の幹の間にいたんだって。
丁度周りの樹々がかくまうかのように葉で覆い隠してあってね。そこの横に犯人が逃走用に使った車が逆様になって倒れてたらしいんだ。でも結局犯人は見つからなかった』
ベット『不思議な話ですね』
本2『まあ、そんな話をわてら物質に話してたなんて馬鹿みたいやな』
全員がうん、と頷いた。
興『誰のために話したと思ってるんだ!』
母『興~!やっぱり誰かいるんでしょう?』
興『いや、いないよ!ハハッ!』
慌てて言い返す興の様子を見て、興にだけしか聞こえない声でクスクスと笑い声が聞こえた。
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