18人が本棚に入れています
本棚に追加
「魔法ですか?」
夜の闇の中、一軒のコテージが浮かび上がっている。
周りは山の為か暗く人の気配は無い。
窓から漏れた光が自然と人工物の中立を果たしている。
「そ、魔法の話」
そんなコテージから聞こえてくる声は二つ。
一人は高めのソプラノなのに対し、もう一人の声はボーイッシュなアルトと言ったところか。
「魔法の話はいらないのでここの問題を教えて下さい」
「おい、おい、そう邪険になるなって」
「何の為に家庭教師の貴方と二人で合宿してると思ってるのですか?」
ソプラノの鋭い言及にアルトは苦笑いをする。
「まぁ、教訓話だと思って聞いてくれ」
「教訓話ですか?」
「あぁ」
ソプラノの声には明らかな不機嫌の色が宿る。
「一体、どのような教訓ですか」
「そうだな、“世の中無理なものは無理”って感じだね」
「それをこのタイミングで言いますか」
アルトがハッハッハと高笑いする。
「まぁ、ともかく。その少年はどっかの魔法の存在する学校に入学した訳だ」
彼女はそう言うとゆっくりと語り出した。
最初のコメントを投稿しよう!