プロローグ~とある教訓の話~

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「魔法ですか?」  夜の闇の中、一軒のコテージが浮かび上がっている。  周りは山の為か暗く人の気配は無い。  窓から漏れた光が自然と人工物の中立を果たしている。 「そ、魔法の話」  そんなコテージから聞こえてくる声は二つ。  一人は高めのソプラノなのに対し、もう一人の声はボーイッシュなアルトと言ったところか。 「魔法の話はいらないのでここの問題を教えて下さい」 「おい、おい、そう邪険になるなって」 「何の為に家庭教師の貴方と二人で合宿してると思ってるのですか?」  ソプラノの鋭い言及にアルトは苦笑いをする。 「まぁ、教訓話だと思って聞いてくれ」 「教訓話ですか?」 「あぁ」  ソプラノの声には明らかな不機嫌の色が宿る。 「一体、どのような教訓ですか」 「そうだな、“世の中無理なものは無理”って感じだね」 「それをこのタイミングで言いますか」  アルトがハッハッハと高笑いする。 「まぁ、ともかく。その少年はどっかの魔法の存在する学校に入学した訳だ」  彼女はそう言うとゆっくりと語り出した。
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