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「ゴホッ、ゴホッ」
火柱が上がり、黒い煙に包まれた実験室から一人の少年が出てきた。
顔は煤で真っ黒に染まり、服はボロボロになっている上、髪のチリチリ具合も凄まじいものである。
どうやら、事件の主犯は彼らしい。
彼はやっとと言った感じで実験室から脱出すると中を見た。
すると、中から銀色の重たそうな服を着て頭に顔まで覆うヘルメットを着けた人物が三人現れた。
内、一人は部屋に向かって何度か手を降る様なしぐさをしている。
風の魔法を使用して、部屋の煙を外に出しているのだった。
中の煙があらかた排出された事を見計らい、銀色防護服の一人(先程排出先程を行っていた人では無い)がヘルメットを取った。
ボサボサの、グレーがかった髪が宙に舞い、左目を隠す様な形で収まる。
「全くカイト君は、防護服制作会社からしてみればテスト用として最高の逸材ですね」
ボサボサヘッドの彼が皮肉を込めて言った。
彼の防護服は服としての形こそ保っているものの表面の一部が溶け悲惨な事になっている。
「ホッホ、そっちなら体の丈夫さも活かせるかもしれませんよ」
隣に並んでいる少年もいつの間にかヘルメットを外していた。
こちらは鳶色の髪でところどころ跳ねている部分が有る。
跳ね方を見る限り、火災が原因では無さそうだ。
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