罪No.16:†LEOPARD†

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一人の幼い少女がいた。 その子の母親は、自分が産まれてすぐに、流行病で亡くなっていた。 自分が産まれてすぐに亡くなった所為か、少女は母親の事を余り覚えてはいなかった。 それでも、暖かい、優しい人だったのは覚えている。 少女には、父親がいた。 いつも自分を笑わせ、大事にしてくれた父親が。 父親の仕事が忙しくて、仕方なく少女が親戚の家に預けられてからも、父親はいつも決まった日に帰って来ては、少女に冒険談を聞かせていた。 そしてまた、仕事に出る。 その繰り返し。 いつも父親は、親戚の家がある近くの森を通って来る。 それを知ってからと言うもの、少女は父親が帰って来る日になると森まで迎えに行っていた。 父親には危ないから迎えはいらないと言われても、少女は迎えに来た。 大好きな父親に会いたいから。 早く会いたいから。 少女はいつも迎えに行く。 父親が帰って来る日の他に、少女には楽しみがあった。 それは、たまに届く父親からの手紙。 父親が行った先に何が在ったとか、こう言う事をした、見た、聞いた事を、手紙には書かれていた。 少女はその手紙をワクワクしながら何度も読み直し、自分が知らない外の世界に想像と夢を膨らませていた。 いつか自分も、大きくなったら父親と一緒に世界を見て周りたい。 そう、思い描いていた。  
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