第一章

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    中学三年、二学期になってすぐの席替え。幸運なことに俺は一番後ろの窓際という位置を得た。 前の方の席は授業中先生に当てられるからごめんだ。そう思うのは俺だけではないようで、「視力が悪くて前の席がいい人?」と、学級委員が希望をとっても誰も名乗り出ない。皆、前の方の席になるくらいなら黒板が見えないほうがましだとでも思っているのだろう。俺もその例外ではない。 席替えをする、と聞くとわくわくするのは何故だろう。クラス替えでもあるまいし。 そう思ってもやっぱり席替えはわくわくする。どこの席になるのだろうとか、仲の良い友達の近くの席になれるのだろうかとか、隣の席は誰になるのだろうかとか、そんな、期待にも似た思いを抱く。 それはやっぱり今回も同じだった。
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