寵愛。

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「お前はお前で居ろ」 少し口元を笑わせて愛しい人は優しく柔らかに言った。 ワタシはコクンと頷く事しか出来なかった。 何でだろ。 伝えたい言葉はある筈なのに。 浮かばない。口に出来ない。 上手く言葉に伝えられない。 「ほら、帰るぞ」 そう言ってワタシの必要最低限の荷物が入った鞄を持ってくれて、手を差し伸べてくれた。 愛しい人は優しい。 他の人みたいに起こらない。 殴ったり蹴ったりしない。 ワタシは差し伸べてくれた手を取り、ベッドから立ち上がる。 だけど傷だらけの身体はワタシの思い通りにはいかなかった。
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