430人が本棚に入れています
本棚に追加
老人の傍にいた少女により邸に辿り着いた暁美。老人はさっさと歩いていくので、その後を追いかけていった。
「さて・・・」
邸の奥にある部屋に入った暁美。老人の傍には男だけがいた。さっきの少女は老人に頼み事を頼まれたので、それをやっているためここにはいない。
「わしはこの邸の主、安倍晴明と言います」
「し、篠原暁美です」
安倍晴明といえば、平安時代に活躍した陰陽師だ。その人に会えて嬉しいのと、過去に来たというのが分かった衝撃があったので、言葉が震えてしまった。
「では暁美殿、どのようにしてここへ?」
「この時代から未来のことですが、私のいた所では、曰く付きの桜がありました。それに近つぐと桜の花びらが景色を覆い、収まると見知らぬ場所に着いてしまったのです」
自分に起きた事を簡潔に説明した暁美。やはり信じられないのか、不審そうな表情をしている。
こういうのもなんだが、簡単に信じてもらえるとは思っていない。未来から来たという戯言を信じるとは到底思わないし、思えない。
最初のコメントを投稿しよう!